朝倉世界一は天才である。

 

 朝倉世界一をまともに読んだのはそんなに昔の話ではない。一時期、スピリッツで相原コージの次に吉田戦車が出てきた時に「不条理4コマ」と呼ばれてブームになった。が、私はあまり吉田戦車が好きではなかった。変なキャラが出てきて変な事言うだけだと思った。私の中で「不条理ギャグ」と呼べる漫画は吾妻ひでおだけだ!というファン心理が働いた為かも知れない。実際吉田戦車の漫画は全然不条理ではなかった。植田まさしよりちょっとだけ現代的なギャグを描いていただけだ。ともあれ結果として吉田戦車は大勢の亜流を生んだ。朝倉世界一はその中の一人であると認識していた。長い間。
 双葉社の「週間アクション」で
「フラン県こわい城」を読んだ時にそれはとんでもない間違いである事が判明した。「わたしの名前はアネモネよ。」で始まるその4コマ漫画は1年後に読んでも「わたしの名前はアネモネよ。」という同じコマから始まっていた。なんじゃいな、そら、と笑ってしまったが、その内容のかわいさと絵のセンスに絶句。イモトモネの性格のかわいさやアニモネのファッションにまいってしまった。
 さっそく
「アポロ」を買ってみた。うわっ。すごっ。しかも泣ける。まさに天才肌作家の傑作。朝倉世界一の漫画は懐かしポップな絵本のようだ。乗り物や風景の描き込みにも清々しいポエム心が溢れいて三十路を過ぎた私のうす汚れたハートをザブザブと洗い流してくれる。
 その作風は「フラン県」の後作、
「おつりは百万円」において頂点に達した。が、これは未だ単行本化されていないはず。惜しい。もし出たら国民総絶対入手作品。八百屋を舞台に日常生活の中の冒険を描く作家、朝倉世界一。
 新刊
「地獄のサラミちゃん」も出ました。これまた気持ちいい大傑作。読まないとやばいよー。

「フラン県こわい城」
全2巻 双葉社

「アポロ」
全1巻 双葉社

[地獄のサラミちゃん]
1巻〜 宝島社