花輪和一先生、お元気ですか?

 

 花輪和一先生が刑務所を出られてその懲役3年間の生活を淡々と、しかし詳細に描写した名作「刑務所の中」が売れているようである。それだけみんな花輪和一の新作を待っていたし、またこれがキョーレツに面白いのだ。メモを取っていたわけでなく、すべて記憶によって描かれたというその描写は微細を極める。花輪和一の緻密で美しい絵は人並みはずれて正確な記憶力からくるものだったのかと思う。
 「ガロ」で何回か花輪和一と出会っているはずだったが、高校時代「月刊スーパーアクション」の
「護法童子」を読んだ時は凄すぎて死んだ。相変わらずの妖怪話でえげつない描写満載なんだけれど、その絵の美しさはとにかく凄い。男の子と女の子が合体して護法童子となり妖怪をやっつけるというバロム・1のようなウルトラマンエースのような珍しくエンターテイメント系な設定。これを下のモノや血まみれの内臓などと混じえてどこかギャグっぽく描くもんだからもはや意味不明。とはいえ、旧作に比べてグロい描写は控えめ。アクション多め。そして花輪和一作品の大きな要素である「かわいさ」の部分が拡大されたのもこの作品の頃からではないだろうか。
 花輪和一は丸尾末広と付き合いがあるそうだが、旧作には何か通じる雰囲気がある。レトロでグロい作風が。私はあまりグログロなものや読んでてキツいのは得意ではないのだが、花輪和一はそこからポップに抜け出した。根がエンターテイメントの人だったのだろう。結果、「グロいのにかわいい」という怪しい作家が生まれた。
 その魅力はアフタヌーンに連載した
「天水」などに結晶している訳だが、「スーパーアクション」や「アフタヌーン」など一般誌、SF誌に描く時はよりポップな作品を描くように気を使っているようである。
 ちなみに懲役はモデルガンマニアがいきすぎて本物の銃を所持していただけなので安心していただきたい。

「護法童子」
全2巻 双葉社

「天水」
全2巻 講談社

「水精」
青林堂