だって清水さん
倉田さんのこと

好きなんでしょう?

「櫻の園」 監督:中原俊 (1990)

「櫻の園」公演日の、演劇部の朝の2時間をリアルタイムに描く、天才・中原駿を決定付けた、邦画の歴史に残る名作。

毎年桜の咲く季節になると、この映画を百回ぐらい連続で観ている。
もっと本当の事を言うと中島ひろこの為なら死ねる。知り合いには倉田さん(白島靖代)の為なら死ねる奴とか、城丸さん(宮澤美保)の為なら死ねる奴がいるが、私は清水部長だ。誰もつみきみほと言う奴はいない。しかしこの映画をきゅっとシメているのは一番遅く登場するつみきみほだ。つみきみほは浅野忠信に似た役者だ。演技してるのかどうかわからない、「素」と呼ばれがちな部分でドラマにリアルな錯覚を起こしてくれる。そんなつみきみほも今や2児の母。ああ針戻させて。

全篇を漂う桜の香、それは女子高生のかおりであり制服のかおりである、いや、ぶっちゃけた話。友人のK村よしやす氏は城丸さんの頭のてっぺんで縛ってるポニーテールは反則だと嬉しそうに言った。彼はセーラー服原理主義者なので、彼女達の制服をどう思うか知れないが、私に関して言うならば、昔共通一次試験の会場で、坂出高校女子の制服の下に黒のストッキング(そして直に黒靴)というスタイルに肝をきゅっと掴まれた経験がある事を、ここで白状しなければならない。またオタクな男どもが描いた机上の女子高生像をと言う婦女子もいるかも知れないが、そんなオタク批判もこの桜の香の前には全くの無力だ。

小椋圭はこれを別の花に例えて「真綿色したシクラメンほどすがしいものは無い」といい、この映画と同じく、女子が誕生日の歌を歌うシーンが出てくる「生きる」では、死期の迫った志村嵩が若い女子にふれて思わず、「命短し恋せよ乙女」という歌を思い出した。まだ上げ初めし前髪の少女を回想する島崎藤村も、そして中原俊も、みんな女子高生に恋している。

蛇足。一方、坂口安吾は桜の(特に乳母桜の)あの満開に咲き狂う、何だか人をそら恐ろしくさせるような、座りごこちの悪いような気にさせる不安さに気がついた。「櫻の園」の予告編には満開の桜の下つみきみほが貧血で倒れるシーンがある。

home