私たちが好きだったこと
(1997.9.6アミューズ・東映ビデオ・デジタルメディアラボー東映109分)
宮本輝原作 岸谷五郎企画 松岡錠司監督
岸谷五郎 寺脇康文 夏川結衣 鷲尾いさこ 田口トモロヲ

 

 夏川結衣は私のアニマだ。絶対神だ。アルファでありオメガだ。「夜がまた来る」を観て以来の人生、その時々にどんなに好きな女優やアイドルが出てこようが、したがって私の中のオリジナル・コンフィデンスで2位より上になることはない。夏川結衣は何処か切ない。なのに笑うとその真っ白な頬にえくぼができる。ほんと、やめて欲しい。夏川結衣の出る映画の監督には夏川結衣を魅力的に撮る義務が自然と生じる。本当だ。と同時に彼女のそのあまりの美しさに観る者の注意が集められ作品としての映画が破壊される恐れがある。「死国」で長崎俊一監督の作り出そうとする恐怖は夏川結衣の美しさに屈服した。この松岡錠司監督も「バタアシ金魚」では高岡早紀の余計なところを撮りすぎて失敗した。しかしこの映画はちゃんと作品になっている。夏川結衣を撮ってしまったのじゃあなく、夏川結衣を撮るために作った映画だからだ。

 これは、自分の彼女が夏川結衣で、もし彼女と気持ちがすれ違ったり、気持ちを残しながらも別れることになったら自分はどんなに切ないだろう、という事を観客にぶつけるバーチャル映画である。(少なくとも男にとっては。)そうするために、やさしい役の多い岸谷五郎はいつも以上に本当の事を言えない穏やかでやさしい男を演じて、控えめだ。夏川結衣がどんなに美しく、また切なくてもそれがプラスにしかならない筋の映画を撮ればいいのだ。もっと撮ってくれ、もっと。

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