「野獣死すべし」
'80東映・角川春樹事務所

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リップバンi
ウィンクル
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の話を
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してるん
iですよ。
  監督:村川透 脚本:丸山昇一  

普段日本酒か焼酎しか飲まない私だが、カクテルの店に入った時はメニューに無くとも必ずXYZをたのむ事にしている。勿論、私が松田優作を愛してるからに他ならない。

以前、古本屋でキネマ旬報のバックナンバーを買ったら、この映画の評判がすこぶる悪かったので驚いた。この人達にとって、どんな映画が「面白い」のだろうか、と疑ったものだ。
ちなみに私にとって面白い映画とはこの「野獣死すべし」のような映画をいう。昔やってたバンドで男3人がショーケン派、優作派、水谷豊派に分かれた事があったが、私が優作派、そして私が一番好きな優作がこの「野獣死すべし」なのだ。

中学生の頃、この映画をTVで流す度に次の日のクラスは優作のものまね(宗教的な事を喚き散らしたり、片手挙げて「あっ」と叫んだりする)をする奴で溢れた。劇団四季でジーザス・クライスト・スーパースターかなんかやってた鹿賀丈史も一気に子供達の悪のヒーローになった。髪を切った優作の代わりに鹿賀丈史がアフロだった。優作だけじゃなく鹿賀も脚本通りに「死んだ目」をしていた。あいつはすげえ奴だ!とクラスの男子は歓喜の声をあげた。小林麻美が一番かわいい時期でもあった。それはそれはものすごく憂いのある表情と薄い唇だったが、それを優作はこともなげに銃で撃ち抜いた。真っ白なワンピースに鮮血が飛び散った時、私の心の中を「もったいない!」という絶望にも似た叫びが響き渡った。が、次の瞬間それはかっこ良さに対する痺れに変わっていた。女などものの数ではないのだという事をその時学んだ。室田日出男のねちっこい刑事が電話ボックスから初対面の優作を見かけて追いかけようとするのだが、急に戻って釣り銭の十円玉を拾っていくシーンにぎゃー!と悲鳴をあげた。何だこの映画は。かっこいい奴しか出ないのか!

この映画のあまりにもかっこいい脚本はいつもコンビの丸山昇一。丸山昇一ん家で2人で飲みながら、優作がこんなキャラクターでいきたいんだ、と言って本を脇に抱えてすーっと幽霊のような歩き方をし、死んだ目をして振り返ってみせた、それを見ておおおっ!と徹夜で一気に書き上げた、という話を読んだ事がある。確かにそういう脚本だ。キャラクターを描く為にストーリーが生まれた、それはまるでブルース・リーや三船敏郎の映画のようだ。松田優作はそんな役者だった。つまりスターだったのである。

私のライターの火はいつも最大になっている。勿論、松田優作を愛してるからに他ならない。

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